オートロック安全神話 |
「オートロック付きなので安全です」「女性専用マンション、オートロック完備」
これらは、実際に不動産情報誌に掲載されている文面です。これに限らず、オートロックは防犯の役に立つと思っている方が圧倒的に多いと思います。
しかし、実際にこんな事件が起きています。
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オートロックマンション
での犯罪 |
【福岡】深夜のマンションで連続強盗
深夜に帰宅した女性から金品を奪う犯行が連続している。
調べでは、深夜に帰宅した女性がオートロックを開けた時にいっしょに入ってきた男が入ってきた。その男はエレベーター内で突然刃物を突きつけ、金品を奪って逃走した。
近隣のマンションで同じような被害が連続して発生し、オートロックに侵入する方法もいっしょな事から、同一犯の見方を強めている。
このように、いくつかの侵入方法によって、オートロックは簡単に突破されてしまうものなのです。いったん入ってしまうと、エントランスからエレベーターにかけては逆に他人が入りにくく、密室になってしまいます。
このような犯罪の多発をうけて、防犯カメラを設置するなどの対策をとるところもあるようですが、それさえもかいくぐって犯行はおこなわれる事も多いようです。
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オートロックの侵入手口 | 居住者についていく |
居住者が入場するところについていく方法。単純なようだが、意外と拒否される事もない。セールスマンが良く使う手。
閉まり際を狙って、ふいに現れてくることもあります。
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来訪者をよそおう |
来客をよそおって、インターホンを鳴らし、開けてもらう方法。宅配便などをかたると、無条件で開ける人が多いようです。
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器械を使う |
センサーを誤作動させる方法。いくつかの方法があります。
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ピッキング |
居室がピッキングならオートロックも・・・と考える人も多いが、実際にはあまり聞かない方法。確かに簡単に開くのですが、なるべく自然に入る方法がいくつもあるので、わざわざ・・・と、いうところでしょう。
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塀を乗り越える |
原始的だが多い。ほとんどのマンションは、竣工後にそういった入りやすい場所が指摘されることがほとんどです。
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マスターキー装置の種類 |
オートロックのシリンダーは、マスター、逆マスターいずれかの装置が付いている事がほとんどです。
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マスターキー装置(MK) |
管理者が持つ1本のキー(マスターキー)で、複数の部屋の鍵を開ける事ができるシステム。もちろん、それぞれの部屋の鍵は別々のものです。
大規模なビルや、1オーナーの賃貸マンションで採用される事が多くなってます。
(よく、メーカー純正のキーを「マスターキー」と呼称する人がいますが、これは正式なものではありません。)
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逆マスター装置(RMK) |
たくさんの鍵で、ある特定の1箇所を開けるシステム。MKと逆なので、こう呼ばれます。
マンションのオートロックや共用部扉などを居室のキーで開ける事ができる場合は、このシステムが採用されているわけです。
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MKの便利なところ |
昔の外国映画で、牢屋の番人が大きな輪の鍵束を持ってるのを見たことがないでしょうか。MKがなければ、たくさんの部屋を持っている管理人や大家さんは、大量のカギを持って歩かなくてはいけません。しかも、その中から必要な1本を探し出さなければ、部屋を開ける事もできない。全部自分の部屋なら、全部同じカギ(同一キー)にしておけるけど、そうもいかない・・・といった場合に、とても便利であることは間違いありません。
なにせ、1本でたとえばアパート一棟の錠がすべて開くのです。管理するキーの数がぐっと圧縮できるし、持ち運びもたいへん楽です。
だったら、みんなMKにしようね・・・となるのだが、それでは、このコラムの意味がない、と、いうことで。
MKは便利な反面、それが悪用されると他の全ての部屋が開けられる危険なものになります。
実際、カギ束を持ち歩く人はいませんが、マスターキーを持ち歩いて、たまたま車内に置きっぱなしのところを盗まれた・・・という事件もおきています。
そういった場合、すぐさま全館のカギを交換してくれる良い大家さんだったらいいのですが・・・。
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MK(RMK)装置の構造 |
MKシステムのとり方は、シリンダーの種類によっていくつかあります。構造的な説明はこの場では差し控えますが、基本的には2つ以上の違うヤマのカギで開いてしまうということ。2通りのピン配列を、1つのシリンダー内に入れてしまっているのです。これは防犯的にはあまりよいこととは言えません。
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MK(RMK)の問題点 |
CP−C(ピッキングに強いカギ)認定に「MK装置の付帯していないもの」の条項があるのをご存知でしょうか。これは、単純に装置が付いたものは、付帯していないものに比べ耐久性が下がるからです。
最近のマンションなどは、ピッキング報道のあおりもあって、「高性能キーの採用」を謳った物件も多いですが、実際は性能が十分に発揮されていないものを採用している事が多いのです。
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ピッキング耐久性の低下 |
ピッキングとは、不正にカギヤマを合わせていくことなので、各ピンでそれぞれ2つ以上のヤマで合うということは、確率的に恐ろしく高くなります。
マスターとコカギの2通りのみではなく、ピッキングで開く組み合わせはかるく10通り以上になる。10倍危険なシリンダーなわけです。
ただし、RMKの場合は、居室の危険性はそこまで高くないことも。
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不正キーでの開錠 |
通常のシリンダーでも、使用頻度が高く、磨耗したものだと、近いヤマのキーを挿しただけで開いてしまうこともあります。MKだと、なおのこと確率は高くなるのです。
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有効ピン数の減少 |
これは高性能といわれるディンプルキー特有の事例です。
ディンプルのMK(RMK)化の場合、ピンを間引いておこなうことになります。つまり、本来18本のピンが内蔵されているシリンダーでも、MK付きのものは数本少なくなるということ。ピンの数=ピッキング耐久性能と考えると、本来より劣るものを付けていることになってしまいます。
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優れたRMKのカギ |
優れた逆マスターとは、各住居の玄関錠のシリンダーにフルスペックのピンが入っているということです。
特に高級なディンプルキータイプのシリンダーは、カタログでたとえば「18本ピン採用で、カギ違い○○億通り」とかと謳っていますが、MK、RMK採用の場合、実際に有効なものはそのなかの7〜8割で、それ以外は空になっていることが多いのです。ピンの数=安全性という考えからすると、決して見過ごせない事例ではないでしょうか。
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シブタニ クラビス(Q-18) |
このシリンダーは、従来4方向ピンですが、RMKのオートロックなどの場合は別の「5番目の配列」が設けられます。
この5列目はRMK専用で、オートロックの鍵穴は1列ピンということになりますが、住居はフルスペック18本から間引きされる事はありません。
(近日発売のMK対応品はフルスペック23本になるので、18本程度の品質は維持される優れものです)
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HORI 6ピンシリンダー |
クラビスといっしょで、従来のピン配列と別の列で共通をとります。片側ピンシリンダーでは唯一です。
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GOAL RFキー |
この場合、オートロックはキー挿入ではなく「非接触IC」もしくは「リモコン」によっておこなわれます。オートロックとの共通化の必要がないので、居室シリンダーは原則的にフルスペックになります。(他の共用部シリンダーがある場合は別。)
ICはキーの頭にも封入でき、6ピン、7ピン、V-18いずれも可能です。
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オートロックを別鍵にする |
みなさん、オートロックと居室は1本のカギで開閉するのがあたりまえ・・・と思っているでしょうが、それは日本だけの常識です。
海外でもオートロック付きの物件というのがありますが、ほとんどがキーを2本以上必要とします。居室のカギ、オートロックのカギ、駐車場のカギ・・・これらがすべて別鍵で当たり前だと思ってるし、さらに居室玄関にも違うメーカーの錠で2ロック、3ロックとなってることも多いようです。
このような運用であれば、CP−Cなりの好きなシリンダーを設置交換することも可能ですし、最近はピッキング対策でこのようにされている方も多いようです。
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オートロックをデジタル化する |
でも、カギをたくさん持ちたくないという方むけのアイデア。今後は、このようなシステムの導入が多くなると思います。
@暗証番号 オートロックを暗証番号で開けれるようにする。しかし、番号の定期的変更をしないと、番号がひと目で判別できるようになります。
また、面倒だからと誰にでも番号を教える方がいらっしゃるようです。特に、お子さんにはご注意を!
Aカード キーでなくカード承認にする。差し込むのもイヤな人には、「非接触ICカード」にすれば、カードを財布やカバンの中からかざすだけでもOKです。
B指紋 指紋照合などのバイオメトリックにすれば、キーは不要。ただし、精度の問題や耐久性は未知数との意見もある。
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オートロックのシリンダーには、毎日たくさんの人がキーを挿します。たとえば、50戸のファミリータイプ(家族4人)の場合、一家族が平均1日8回としても、全戸で1日に400回、年間にすると14万6千回にも及びます。通常のシリンダーの耐久テストが20万回の抜き挿しですから、2年で軽くクリアする計算です。
シリンダーの変化は、まず差込口に現れます。これは真鍮にメッキを施したものですから、メッキが磨耗ではがれ、下地があらわになってきます。
次に、内部のピンが磨耗をはじめます。特に、住人の方の何人かが精度の悪い合鍵をお使いの場合、ピンだけではなく筒の部分も傷つけてしまいます。
その結果、ついにはまともなカギを挿してもシリンダーが回らない、という症状になるのです。
精度があまりよくない従来のシリンダーならいいですが、精度の高いディンプル系は、こういった磨耗で不具合が出る危険性がたいへん高くなります。本来、寿命ですからしょうがないのですが、おそらくそういったスパンで取替えが必要なことなど、どなたもご存知ないはずです。
対策としては、@常日頃から潤滑財を塗布して軽減する、A不細工な合鍵は使用しないといったところ。
もし、動かなくなったら、少しキーを引っ張り気味にすると、回ることがあります。
しかし、根本対策としては、オートロックに高級シリンダーのRMKを使用せず、上記カードキーの「非接触ICタイプ」を使用する新システムに移行するほうがいいでしょう。これだと、磨耗の心配は一切ありませんので、シリンダーより長期の使用が可能です。
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結論 オートロックとの付き合い方
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オートロックは過信してはいけません。
オートロックは、悪意を持っていないセールスなどのうっとおしい相手を排除するもの、程度に考えなければいけません。
よく、「オートロックをピッキング対策の鍵に替えて」などという依頼がありますが、これは、はっきり言って無意味です。先般でも言ったように、他のあまりにも単純な方法でもって、簡単に侵入可能なのがオートロックなのです。
国土交通省が平成13年に策定した「共同住宅に係る防犯上の留意事項」には、共用玄関は以下のように定義されています。
ア 周囲からの見通しが確保された位置等にあること。
イ 共用玄関は、各住戸と通話可能なインターホンとこれに連動した電気錠を有した玄関扉による
オートロックシステムが導入されたものであることが望ましい。
ウ オートロックシステムが導入されている場合には、共用玄関以外の共用出入口は、扉が設置され、
当該扉は自動施錠機能付き錠が設置されたものであること。
エ 共用玄関は、人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。
また、共用玄関以外の共用出入口は、人の顔、行動を識別できる程度以上の照度が確保されたものであること。
しかし、これは、現行のマンションとほとんど差異がありません。つまり、これを踏襲しても、事件はおきているということです。機器の問題ではなく、安全な使い方を検討しなければ、被害はなくなりません。
1 いっしょに籠に入ってくる人がいた場合は必ず挨拶を交わし、知らない人物であれば「どちらへご用ですか」と聞く。
2 知らない人とは、特に夜間は絶対同じエレベーターに乗らない。不審な人物が入ってきたら、しばらく外出しなおすぐらいの用心を。
3 インターホンが鳴っても、知らない人だったら開けない。(応答はしましょう。泥棒の下見の可能性もありますので。)
4 宅配便や書留などの場合、送り主を確認し、知らなければ拒否して開けない。
5 オートロックだからと、構内に無施錠の自転車や貴重品を放置しない。
6 ちょっとのゴミ捨てなどにも、オートロックだから侵入はないと、玄関を無施錠にしない。
予算が許すなら、カメラ付きのインターホンの設置がお勧めです。これだと、来訪者が誰かが、応答前にひと目でわかります。
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施設の対策をとりたい方は・・・ |
各種の開錠方法に対し対策を講じたり、進入防止の設計にされたい管理組合さんなどのご相談を承っております。
また、新築や改築の場合に、本当に安全なオートロックのご提案もさせていただいております。詳しくはメールでお問い合わせください。
メール lands@mazken.jp
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