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セキュリティ講座 【第5時限】
現行ドアを完璧にする方法教えます
【日本の玄関ドアと欧米の玄関ドア】
玄関のドアにはいろいろな材質がありますが、使用勝手についていえば、おおまかに
開き戸
と
引き戸
の2種類が存在します。
開き戸とは、ヒンジ(蝶番)で吊った、前もしくは後に開くドアで、引き戸とは横に引くことによって開く扉です。後者は主に和風建築やアジアの一部地域で使用され、欧米ではまずお目にかかれません。
開き戸にもおおまかにわけて3種類の使い勝手があります。
1、内開き・・・・・・・・室内側に向かって開くドア ホテルの客室等に多い
2、スゥイング・・・・・・押しても引いても開くドア デパートなどの大型施設のガラスドアなどに多い
3、外開き・・・・・・・・外部に向かって開くドア 日本の住宅の玄関はほとんどこのタイプ
今年公開された映画「みんなのいえ(三谷幸喜監督作品)」でも、デザイナーと大工の棟梁が内、外の勝手でもめている場面がありましたが 、その中でもあるとおり、
日本の住宅は当然のように外開きドアですが、欧米住宅で内開きドア以外を見つけることはほとんどありません
。
その理由は何なのでしょうか。
A、住宅事情
日本の住宅は狭いので、有効利用するためにデッドスペースをなくすため。
B、生活習慣
上の事情に合わせて、日本人は玄関先で靴を脱ぐ習慣があり、さらにスペースが必要になる。
C、消防の見地
高層の建物で非難経路になっている場合、消防署の御達しで「押してすぐに逃げられる構造」 を求められることがある。
しかし、これらの事項(映画でも)でまったく論点から脱落していることに「
防犯性
」という項目があるのです。
【外開きドアは防犯性が薄い!?】
結論から言って、外開きドアは内開きのそれと比べて、格段に防犯性能が劣ります。
その最大の理由は次の2つです。
1、ドアと枠の隙間が外から丸見えになる
(図@)
2、ヒンジ等のドア支持金具が外部に露出する
(図A)
1の理由としては、外部から
バールなどで力をかけた場合
、その力がダイレクトに開き方向に伝わることにあります。つまり、こじ開けに対して都合がいいということ。
また、その場合、ドアより枠(錠の受け箱)あたりの構造上弱い部分に力を集中させることができるため、大変弱いということが言えます。
さらには、
錠のラッチやかんぬき部が丸見えになる
ため、錠自体へのかんぬき押し込み破壊や、それ以前に施開錠の状態までもが外部から簡易に確認できるのです。
2の理由は、
蝶番を切断する
ことによって、ドア自体をはずすことさえもできるということ。
最近のマンションでは、ドアを完全に開かないと扉をはずすことができない旗蝶番が付いていることが多いようですが、これなど切断による被害が報告されています。
また、アパートのような小規模集合住宅玄関や戸建て住宅の勝手口などは儀星蝶番というものが付いることが多いようです。これなど芯棒を抜くことによって、ドライバー1本で破壊(?)が可能です。
つまり、内開きでは実現困難な数々の破壊行為に関して、外開きのそれは対抗しえないということなのです。そして、ピッキングが騒がれる以前から行われていたこれらの行為は、ピッキング騒ぎの最中の現段階においてもまったく衰えていません。逆に、素人が訓練せずに実行可能なこれらの行為は、今後においてもますます横行しそうな勢いなのです。
これからの玄関ドアは、
破壊に対する各種強化策を取らなければならない
と考えます!
【対抗措置と対策】
外開きドアは、直ちに内開きに変えましょう・・・・と、言っても現実には困難なことが多いようです。構造的に大工事になることもありますし、集合住宅の場合、まず管理者や管理組合の許可がおりません。
現実的な部分で何かできることはないのでしょうか。
1、面付け錠を付ける(図@-1)
以前にも言いましたが、錠を面付けにすることによって、ドアの防犯性は格段に上がります。理由は戸先の隙間から錠の構造物が一切露出しないため、物理的に直接攻撃ができないと言うことです。
主錠(既存の錠)を面付けに交換することも可能ですが、せっかくなら面付け補助錠を設置される方をおすすめします。これは、単純に錠性能(特に閂部)自体が堅牢であることと、ピッキングやドリル破壊に強いシリンダーが各種チョイスできること(図@-2)、複数の錠がついてることで侵入者に視覚的プレッシャーをかけること、そして何より、破壊されたとして、1台の錠の場合より明らかに2台の場合が時間がかかるということです。侵入に時間と手間がかかるように思わせることが、最大の防衛策なのです。
できれば、構造力学的に見て、下外観図の@のように、上下に2個つけたほうが良いでしょう。これにより、バールのこじ開けに格段に強化されます。
2、ドアの隙間を見えなくする(図A)
最近では、目隠しの「召し合わせ」というものがついたドアも多く見られるようになりました。せめて錠の部分だけに「ガードプレート」という目隠しをつけた現場が最も多いようですが、そうでない既存建物も多いのも事実です。なかには目隠し以外の用に立たない簡易的なものもあります。こういったものは、バールどころかドライバーでも曲げられてしまうので、ある程度の強度(設置方法も含めて)があるものが望ましいと思います。
後付けで設置は可能ですので、ぜひ強いものをお選びください。
なお、市販のものは30p程度の長さで、錠の部分にだけつけるようになっていますが、当社ではA図のようにドア全体につけるものをおすすめしています。(オリジナル商品)
3、「ドアボス」を付ける(図B)
まれにドアの内部に吊り金具(中心吊ピポットヒンジ)を仕込んだドアもあるようですが、ほとんどは外部に露出した蝶番により支持されています。
ともかく、ヒンジを破壊された場合に、ドアをはずせない構造にすることが望ましいようです。あまり現行後付け商品としては出回ってないようですが、「ドアボス」というものを追加設置することで、強硬な侵入者に対しても防御が可能です。
<トピックス!>
最近、新たな手口として認識されつつあるものに、「サムターン(室内側の施錠用つまみ)を特殊な工具で動かして開錠する」というものがあります。これをやられると、ある特定の錠前機種によっては、いくら高価なシリンダーに交換しても、まったくの無防備になるようです。
対策としては、丸いサムターンになっている面付補助錠を、正しい位置でつけるしかありません。
コラム 建築と防犯
残念ながら、日本の住宅で防犯をメインに据えた住宅建築を行っているところはほとんど皆無でした。これは、建築家やゼネコン、工務店を含めてです。既成品ドアメーカーにしても、つい最近まで「防犯仕様」をうたっていませんでした。
特に錠と鍵にいたっては、末端のパーツ程度の認識しかなく、選定基準は「安いもの」「取り付けが簡単なもの」という、ユーザーの意識をまったく無視したものだったのです。ましてや、サッシメーカーの錠などはほとんどが特定型式の専用部品(OEM)のため、簡単に廃盤にされたり、交換用部品がなかったり、あってもコストがかかるなどの問題があります。
よく、カギの交換を含む防犯化の相談を建築会社やサッシメーカーにされる方がいらっしゃいますが、彼らは自前の商品のこと以外は、あまり詳しくありません。ご依頼になる業者は、よく選定された方がよいと思います。
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