松本建築金物店

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セキュリティ講座【第3時限】

窓の安全を守れ!



窓の安全を守れ!


一戸建て住宅の場合、泥棒の侵入系路のほとんどは開口部です。中には、屋根や壁を破壊する荒っぽい手口もありますが、そのようなものは例外といっていいでしょう。
その中でも、戸建住宅では2位の「ドア」を大きく引き離しているのが「窓」なのです。今回は、その手口と、住宅のガラスの防犯策について考えます。


 

窓の施錠の歴史
日本の住宅には、必ず窓が存在します。そして、そこには、必ずといっていいほどガラスが入っています。実は、これがポイントなのです。
窓からの進入盗の場合、鍵の掛け忘れからの侵入というのも多いですが、ほとんどの場合はガラスを割っての侵入 ということになります。
極太捻締り ずっと昔の話。時代劇などで、窓や木戸につっかい棒をして戸締りをしていたのを見られた方も多いと思います。日本独自の「引き違い機構」の窓は、こうするぐらいしか施錠法はなかったからです。これに革命を起こしたのは、「捻子締り」と呼ばれる金具です。大正年間にはすでに発売されていたこの金具は、今でも木製の引き違い窓にはほぼ必ず付いています。(写真は(株)ベスト 極太捻締り¥600)

この商品は、単純ではありますが、世界に誇れる発明です。「ネジ締り」が出来たことによって、確実に、しかも簡単に戸締りが可能になりました。しかし、なぜか「スチールサッシ」「アルミサッシ」という概念ができた時、窓の錠は単純なものになってしまいました。「クレセント」という錠が登場し、施錠操作は簡単になりましたが、逆に外部からはずしやすいという側面が露呈したのです。

 

ガラス破壊!
「網入りガラス」を「こじ破り」して、
「クレセント」をはずすところ
「網入りガラス」を「こじ破り」して、
「クレセント」をはずすところ(TV画面より)
窓に錠がかかっている場合、それをはずすために「ガラスを割る」という手口があります。「捻子締り」の時代は、そうして錠を開けるときには、かなり大きく穴をあけ、手を突っ込んで締りを回さなければなりませんでした。ガラスを大きく割ると、それに比例して大きな破壊音がするというリスクがあり、また、手を差し込むことによって怪我もありえます。
しかし、「クレセント」は、ガラスを割れれば、あとは押せば開きます。ドライバーなどの細いものを突っ込めば、怪我の心配もありません。リスクが少なくなったのです。
やがて、そういった手口に耐久するために、クレセントを固定する簡単なスイッチレバーが付いたものや、サッシの下方の框<かまち>に、起き上がり式の補助錠をつけたものが登場しました。しかし、それらもガラスを割れば簡単に操作、解除できるものであったため、目覚しい防犯性能があるとまでは言えませんでした。
窓の防犯対策については、大きく進展しないまま、「割られた家は運が悪かった」程度の認識で現在まで運用されていたのです。


ガラスが狙われやすい場所

  • 狭い、建物と建物の境界の通路や勝手口近辺の、周辺道路から目立たないところ。高い垣根や塀の死角なんかもねらわれます。

  • トイレや浴室の小さな窓であっても、安心は出来ません。20センチ角程度の大きさがあれば、普通の成人男性でもくぐりぬけることが出来ます。

  • 洗面所などに多いルーバー窓(下図)も危険です。この形式の窓は、ガラスを簡単にはずすことができます。ただし、完全に閉めた状態だと、難易になるので、外出時には必ず閉めるようにしてください。

    ルーバー窓

  • 面格子が付いているからと、安心してはいけません。古いものは、構造が弱く、簡単に破壊、撤去できるものも少なくありません。設置方法も、単純なねじ止め工法のものなどは、同じく簡単に撤去されます。格子があると安心して、施錠をしていなかったりと言う事例も多く、かえって被害にあう確率が高くなってしまいます。


  • マンションでのガラス破り
    マンション等の集合住宅にあっても、1、2階の低層はこの手口が起きやすい傾向があります。おそらくピッキングよりも頻度は高いでしょう。
    また、ベランダ近辺に雨樋や電柱、ひさし、給水塔などの登りやすいものがあるお宅は、ここから侵入され、同様の被害に遭うことがあります。
    さらに、最上階の場合、「下がり盗」といって、屋上からロープ等で降りてベランダに侵入する場合もあります。(最近、君島十和子さんがやられた手口です)オートロックの物件でも、そうやって侵入される事態は少なくありません。

ガラスを知ろう!

国内の住宅で使用される主なガラスの種類です。特性を知って、正しい使い方をしましょう。
  1. 透明板(フロート)ガラス 従来の窓のガラスは、単純な1枚モノの「板ガラス」でした。住宅の場合、和風建築では3〜4.5mm、近年のアルミサッシで5〜6mm程度の厚みしかありません。

  2. 型ガラス 模様やくもりが入ったガラス。透明なものにくらべ多少は丈夫そうに思う方もいますが、実際の強度は全く変わりません。

  3. 網入りガラス 鉄線が網目に入ったガラス。割れた時に飛散しないことが主目的で、法律で防火区画などには使用が義務つけられています。厚みも一般に使用されることが多いもので6.8mmと多少は強そうですが、飛散しないと言うだけで、割れることにかかる力は板ガラスとほとんど変わりません。大きく割れ落ちないため、かえって安全だと好む泥棒もいるとか。

  4. 強化ガラス 平面への垂直衝撃に大変強く、自動車の窓や店舗入口の大型ドアなどに使用されます。ボールや悪ふざけでぶつかっても割れないように、小中学校ではこれに入れ替える作業も行われています。ただし、それ以外の加重をかけると、大音響と共にガラス全面が一気に砕け散るという、恐ろしい(笑)結末を迎えます。しかし、全面玉状になって、完全に砕け落ちるため、音さえ気にならなければ、防犯の役にはたちません。(よく、合わせガラスなどを「強化ガラス」と呼ぶ方がいらっしゃいますが、それは間違いです。)

  5. 耐熱強化ガラス 熱を加えても割れにくいガラス。一般のガラスに熱を加えると、熱収縮で割れてしまいます。このガラスはそれを防ぐ役目があり、食器などでも似たようなものが使用されています。
    近年騒がれている「焼き破り」手口には一定の効果を持ちますが、それ以外の強度は上記強化ガラスと似ているため、単体での使用は防犯にはなりません。下記の防犯合わせガラスとの併用で用いるべきでしょう。

  6. ペアガラス 2枚のガラスを平行に立てて、間に空気の層を持たせたものです。断熱効果にすぐれ、結露しにくくなります。また、防音にもいくらかの効果があり、軽微な騒音ならば軽減も期待できます。現在、アメリカやカナダからの輸入住宅は、ほぼすべてこのタイプになっています。
    防犯については、単純に2枚以上割るという意味では効果的ですが、板ガラスよりもやや上程度と理解してください。(よく、ペアガラスは防犯になるとおっしゃる方がいらっしゃいますが、それは嘘です)

  7. low-E(ロウ・イー)ガラス 紫外線カット、侵入光による熱透過などの軽減機能を持つガラス。コーティングの方法によっては、サングラスのようにサンシェードや目隠しの機能も持ちます。ペアガラスの構成素材として使用されることが多いガラスです。

  8. 合せガラス 2枚の板ガラスでプラスチックフイルムをはさみ込んで接着したもの。フイルムの種類によっては紫外線カットの効果があり、割れた場合の飛散防止(軽減)効果もあります。「こじる」ことに対する破壊強度も板ガラスの数倍になりますが、中間膜の薄いものであれば短時間で破ることが可能です。

  9. 防犯合わせガラス 合わせガラスの中でも特に破壊に強いもので、防犯的に導入されるならこれ以外には考えられません。これらは、強い衝撃(ハンマーで殴る等)によって蜘蛛の巣状に破壊痕は付きますが、打撃で完全に貫通させることは容易ではありません。(よく、「割れない」と表記されることがありますが、それは嘘です)
    ただし、細い鋭利なものであれば貫通は可能ですから、やはり二重ロック等の対策と併用しなければ、完全な効力を発揮することはありません。
    合わせガラスは上級の規格になると、いわゆる「防弾ガラス」などの世界に入っていくような商品なのです。



ガラス破りの手口!
ガラスを破る、と言っても、その手口はいくつかあります。
特に問題にされるのは、携帯可能な一般的工具による犯行で、欧米の規格や平成16年の春に発表予定の国内新法案の細則では、特にポケットに入る程度の小道具(ハンマーやドライバー)による犯行についての耐久性能が重視されます。

  • こじ破り
    ドライバーなどで行われる手口。クレセント周辺のみを大きな破壊音がしないように割る手口で、従来最も多い。

  • 三角割り
    主にガラス切カッターで割りたい位置だけを切り取ってしまう手口。開口はこじ破りと類似する。

  • 焼き破り
    最近流行と言われる手口。バーナーなどでガラスを加熱し、熱収縮を利用して割る。これも大きな音がし辛いのが好まれるようだ。クレセント回りで行われる。

  • 投石
    現場でひろった石などで割る手口。これもオーソドックスで、素人が何の準備もせずに可能なこともあり、多発する。

  • 打ち破り
    ハンマーやバールなどの大道具によって叩き割る方法。欧米規格ではこのあたりまでの耐久性を想定している。実際には、かなり大きな音がするため、住宅地では起こりにくい。

  • クレセントはずし
    ガラス破りではないが、よく見られる手口なので言及する。旧型のクレセントで、可動部などに疲労が来ているものなどは、外からサッシをゆすっただけで外れることがある。本来、窓を締め付ける役目の部品であるから、がたつきが大きくなった時点で交換すべきである。

  • 番外1/特攻(?)
    ショーウインドウなどに車で突入する手口で、冗談のようだが実在する。周囲に人がいても、あっけにとられているあいだに、短時間で盗み出す。当然、警備保障や警官も間に合わないことが多い。
    中には、シャッターを四輪駆動車でひっぱがしてから、ガラスに突入することも。

  • 番外2/銃撃・爆破
    国内ではまずおきない侵入法。映画などではよくある。アメリカ同時多発テロなどの対策で、実際に対策が行われた。

  • 番外3/飛来物や体当たり
    手口と言うより、自然災害での話。台風や竜巻で飛ばされたものがガラスに衝突したり、野球ボールが飛んできたりというパターン。人間がオーバーランしてぶつかることも。どちらにしても、破片で怪我をしたり、留守中に穴が開きっぱなしというのでは困る。


    以上以外にも手口はありますが、そのほとんどが上記に近い方法をとる亜流です。対策も、ほぼ似通っています。手口名に惑わされるのではなく、正しい対策を考えましょう。



 

破壊侵入 対策マニュアル

窓からの侵入を防止するには、次の方法が考えられます。
A.施錠する。(論外!) 冗談みたいな話ですが、このかけ忘れからの侵入が最も多いのです。特に、トイレや台所等の小窓。換気の為の開放も×です。
2階以上の場合もご注意を。戸建住宅の2階からの侵入で最も多い手口がこれです。まさかこんなとこからと思うとこからでも、侵入はあるのです。
お宅は大丈夫ですか?


B. 窓も「ワンドア・ツーロック」にする

ダイヤル錠付きクレセント「あかないんです」
ダイヤル錠付きクレセント「あかないんです」
一部を除くほとんどの既存クレセントと取換え可能。

 ファスナーロック カギ付
 
 





  ファスナーロック カギ付
よく知られたタイプの補助錠。DIYでも取り付け可能。
もっともコストがかからないが、確実な方法がこれです。
おおまかに分けて、カギによる施錠式と、単純なつまみ(サムターン)式があります。
圧倒的に多く出回っているのはサムターン式です。ホームセンターなどに行けば、実に多種多様の商品が陳列されています。穴あけ等の加工不要で、アマチュアでも施工が簡単なのは良いのですが、逆に言うとガラスを割って不正に操作することも簡単です。設置位置に考慮が必要です。
物理的に防止したいのならば、施錠機能(カギ)付きをビス止めして設置することをお勧めします。



 
C. 割れにくいガラスにする


 90mil合わせガラス
 90mil合わせガラスの構成イメージ図
 
 
 
 
 

強固な防衛を希望したり、新築の場合は、やはり防犯合せガラスにすることをおすすめします。

日本の住宅環境から考えれば、防犯合せガラスを使用したペアサッシなどもおすすめです。これにすれば、防犯のみならず、紫外線カット、防音、断熱、結露防止の効果が得られます。

問題は予算ですが、当社はリフォームローンも取扱っておりますので、無理のないお支払いも可能です。

D. 窓に「面格子」を付ける

アルミ型材クロス格子
アルミ型材クロス格子


鍛造風スティール格子
鍛造風スティール格子
最も効果的な方法がこれです。掃き出しの大きなサッシには設置が無理ですが、小窓にはほぼ完全な威力を発揮します。
ただし、商品の材質で、強度が全く違ってくるので、なんでも付いていればというわけではありません。 サッシの標準部品として付いてくるアルミ製の縦格子な どは、先にも書いたように強度が不足したものがあります。

強度順に言うと以下のようになります。
  1. ステンレス無垢材格子
  2. スチール無垢材格子
  3. ステンレスパイプ型材格子
  4. アルミ型材クロス格子
  5. アルミ型材竪格子(従来品)
           *型材=中空の材料
はめ殺しの窓や出窓などの場合は、外部ではなく部屋の内側に取り付ける「インナー格子」もお勧めです。鍛造風格子などは、インテリアとしてもお使いいただけると存じます。

当社では、すべての商品について製作の相談を承っております。




E.窓にシャッターを付ける 雨戸を閉めることで防犯になるという考えがあります。
確かに、割れやすいガラスをカバーするという意味では役に立ちますが、侵入窃盗犯にも役に立つかどうかは疑問です。なぜなら、ちょっと力を掛けただけで、簡単に外れてしまうような雨戸は、大変多いのです。

そういった意味では、近年はやっている「住宅用雨戸シャッター」は、そこそこの強度を持つものも多く、信頼できるものです。
ただし、手動式は、ロック構造が単純で、研究されれば簡単に突破されそうなものも多いので、できれば電動式をお勧めします

店舗などでも、手動バランスシャッターなどより、電動重量シャッターのほうが防犯性が高くなります。(ただし、操作ボタンボックス自体の強化はお忘れなく)

F.それでもだめなら・・・・ もう、向こう3件両隣に声をかけ合うマンパワーか、凶暴な犬を飼うワンパワー(笑)しかないでしょう。しかし、これって、あんがい重要なことなんです。効き目あります。

これってどうなの?
 窓の防犯グッズは、ホームセンターなどでもたくさん売っています。上に出てこない商品って、いったいどうなってるの、と、言われそうなので、いちおうご紹介しておきます。
 いずれも、何もしないよりは有効なので、完全に否定は出来ませんが、今まで紹介した最上の方法よりは劣ると考えられます。
 なお、これらの商材もTPOにより活躍は出来ますので、当社ではすべて取扱っております。

飛散防止フィルム(防犯フィルム)

 既存のガラスに貼り、割れにくくすると言われる商品。主流は欧米からの輸入材です。日本では「防犯フィルム」という名称で売られていますが、先進国である欧米では「セキュリティフイルム(直訳:安全フイルム)」や「セーフティフイルム(同、危険防止フイルム)」などと呼称されることが多いようです。ガラスの破壊時における飛散の軽減が主と理解してください。

 侵入盗に対する防犯性能だけで見ると、合わせガラスには及びません。
 ただし、なにもしないガラスよりは確かに時間稼ぎになります。
 賃貸などの退去時に原状復帰をしないといけない場合や、合わせガラスの厚みに見合う飲み込みしろがない場合などには、たいへん利用価値はあると思われます。

警報装置

おおまかに分けて、その場で音響と発光で撃退する「自己完結型」と、あらかじめ登録した電話番号や警備会社に自動的に通報が行くようになっている「自動通報型」があります。
長期の留守などには後者が有効ですが、初期、ランニングを含めてコストがかかります。
ガラスセンサー ガラスセンサー
賊がガラスを破壊しようと震動をくわえると、報知器が反応し、音響で相手を追い払うというものです。価格も安く、ガラスに貼るだけで設置できる点が魅力ですが、風や振動などの誤報があるなどし、普段からスイッチを切られる方が多いのが実情です。電池式のため、知らない間に作動しなくなっていることもあります。また、留守中に鳴り始めると、近所迷惑なこともありますので、お気をつけください。

マグネットセンサー
窓やドアを侵入者が開けると、大音響がするという商品。
誤作動が少なくいいものですが、自分で付けるものは外部から容易に設置位置が確認できるため、その場でスイッチを切られて終わるケースもおおいに考えられます。

窓の簡易補助錠

窓の簡易補助錠

先にも言いましたたように、設置がたいへん簡単で、価格も安いのですが、あくまで緊急の仮の対策です。
犯人から手の届かない上部などに設置すると、多少の効果はあります。




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