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勝手口・テラスドア の防犯対策

1. 狙われやすい「勝手口」

勝手口は、建物の裏側などの、周囲から目立たない部位に設けられていることが多く、玄関扉に比べデザイン、防犯性能、価格とも簡便なものでよいと言う考え方が多かったのも事実です。しかし、それは間違いだったのです。

玄関より危険な勝手口周辺

玄関と勝手口のどちらが犯罪者に狙われる危険性が高いのかというと、間違いなく勝手口といえるでしょう。なぜなら、見通しが悪く、隠れて犯行しやすいためです。それなのに、破られやすい大きなガラスが使用されているなど、防犯力は玄関より大きく劣ります。そういった理由から、まずこちらの強化を行わなければ住宅の防犯力は上がらないといえるのです。(危険部位の序列化)
防犯対策はまず玄関からと思っておられる方が圧倒的に多いようですが、実際は「玄関は後日でもいいので、まず勝手口の防犯対策から始めましょう」とアドバイスさせていただくことも多いのです。

2. 勝手口の仕様別・危険度チェック

勝手口ドアと言っても、いくつかの種類があり、対策も異なります。

アルミ框(かまち)ドア

アルミ框(かまち)ドア

昔の勝手口の定番。サッシドアの外周枠「框」に、ガラスやパネルをはめ込んだもの。防犯的には「最悪」

ガラスが破られる

ガラスを破って錠を開ける。実は、パネルの方も同様に短時間で穴が開く。

ピッキングに弱い

多くの場合、ピッキング耐久性が5分未満。

ノブを壊される

ノブに鍵穴がある錠は、簡単に壊すことが可能。

こじ開けに弱い

ドアも枠も、バールで簡単に変形し、閂が外れる。

丁番が壊される

一部の商品は、丁番の芯棒が簡単に抜けてしまう。

旧アルミ通風ドア

旧アルミ通風ドア

通気用の窓が付いたドアで、近年の定番。しかし、ごく最近のもの以外は防犯性は低く、たとえ2ロックであっても安心できない。

ガラスが破られる

ガラスを破って、錠や通風窓のクレセントを操作。

ピッキングに弱い

標準部品の多くは、ピッキング耐久性が5分未満。

こじ開けに弱い

框ドアと同程度の強度しかない。

格子を壊される

外すのも切断するのも容易で、防犯的には無意味。

テラスドア(北米輸入タイプ)

テラスドア(北米輸入タイプ)

輸入住宅で使われることが多いドア。木製のため弱いと思われがちだが、玄関ドアと同様の防犯性があるものも多い。錠についても、かんぬきが国産のものの倍程度と長く、こじ開けにくい。

ガラスが破られる

ペアやステンドグラス調は、見た目ほど強くない。

ピッキングに弱い

殆どピッキング耐久性が5分未満。また、対策商品がオプションでない場合も多い。

3. ピッキング対策だけでは防げない!

バールでのこじ開け被害に遭った「通風窓付き勝手口ドア」
この画像は、実際にバールでのこじ開け被害に遭った「通風窓付き勝手口ドア」です。こじ開けとは、バールで枠とドアの隙間を押し広げ、かんぬきを受け金具の穴から抜けさせてしまう手口です。ご覧のような短いかんぬきの錠では、いとも簡単に抜けてしまいます。
実はこのドアには、「内締り補助錠」が1個、セオリーどおりの位置に追加設置されていたのです。さらに、こじ開け対策とされる「ガード(召し合せ)プレート」も設けられていました。

このドアは、なぜ被害に遭ったのか?

補助錠の施工方法の問題
アルミはやわらかい金属ですから、特に板厚が薄い場合、ビスを強固に締め付けることが出来ません。今回のように強い力がかかる可能性がある部位については、鉄板の裏板を入れるなどの補強が不可欠です。


補助錠の商品選定の問題
この補助錠は、ガラスを破ってサムターンを開放する手口には対応できますが、かんぬきが短いためこじ開けには対応できません。


ドア構造の問題
召し合せプレートと言っても、薄いアルミの板で目隠しをしているだけです。押し広げようと思えば、難しくはありません。しかも、枠の裏側は「空洞」ですから、簡単に変形してしまいます。

もっとも憂慮すべき「こじ開け」「ガラス破り」

今回の扉は「ピッキング対策がされていない」シリンダーが付いていますので、ともすれば、「鍵穴強化!」と考えがちです。しかし、実際には、勝手口については、ピッキング、サムターン回し、こじ開けの3つに対応する対策を同時に行わなければ、防犯力が上がるとは考えられません。
実のところ、勝手口を狙う最も効率的な手口は「こじ開け」と「ガラス破り」なのです。なぜなら、ピッキングはそれなりに練習をしなければ習得できませんが、こじ開けなどは、道具さえあれば、誰でも即実行できるからです。

4. 勝手口の防犯対策

ドアこじ開け対策

補助錠を付ける
錠の数を増やすことによって、こじ開けに対する物理的強化をすることができます。ただし、十分な長さ(掘り込み錠で18mm、面付け錠で15mm、ただし戸と枠の隙間が4mm以内の場合)のかんぬきをもった製品を、出来れば上下2箇所以上など、バールの力を分散できるような位置に設置しなければ、効果はあがりません。


錠を鎌式にする・鎌式の補助錠を付ける

鎌式のかんぬき図
鎌式のかんぬき(左図)を装備した錠に交換します。バールなどで枠と扉の隙間を押し広げようとしても、鎌が引っかかるため、強力に耐久しますので、多少弱いドアでも、飛躍的に耐久性が上がります。
対応する商品がない場合は、補助錠として追加設置することでも対応できます。
近年のサッシドアは、ほとんどがこの方式が標準に変更されています。

ガラス・面材破り対策

防犯仕様サムターンの設置
ガラスをを割り、またはパネルを破って手を差し入れたり、サムターン回しでも錠を開けられないように、サムターンを簡易シリンダータイプに交換します。交換部品がない場合や、補助錠を設置する場合は、サムターン回し対策がなされた補助錠を設置することでも対応できます。


■ 勝手口に多い錠型式の交換部品
MIWA / LZ,LA >>
GOAL / TX,TTX,TD >> QDC-900 >>


通風窓の強化
通風ドアの場合、その窓のクレセントを強化するか、窓用補助錠を設置することも、場合によっては有効です。方法は窓の補助錠に準じます。


ガラス強化
ガラス自体を割られにくいものに変更します。ただし、既存扉の場合は対策が難しい場合も少なくありません。

ピッキング・錠破り対策

シリンダー交換
ピッキング耐久時間が長いシリンダーに交換します。


■ 勝手口に多い錠型式の交換部品
MIWA / LZ,LA >>
GOAL / TX,TTX,TD >> QDC-900 >>


補助錠設置
ピッキングに強いシリンダーを装備した補助錠を、2ロック目として設置します。交換用シリンダーが存在しない機種の場合も、この手法を用います。
なお、勝手口の場合、外部からカギを開け閉めしない場合は、内締り専用の補助錠を設置することで、比較的安価に済ませることも可能です。ただし、商品選択にはこじ開けまで考慮したものを選択したほうが無難でしょう。

5. 比較的強固な勝手口ドア

世の中には、比較的防犯に強い勝手口用の扉というのもあります。

近年の勝手口ドア

近年の通風ドアは、錠は鎌式で2ロック、通風窓も複数施錠という製品も少なくありません。ピッキング耐久も高いものが設置されているか、オプションで選べるようになっています。

CP認定のドア

近年の勝手口を、さらにバージョンアップさせたものと考えて差し支えありません。想定できる数々の手口に対し、5分以上耐久できるとされています。錠もガラスも、すべてCP認定品が使われています。

樹脂サッシの簡易エアタイトドア

樹脂製で、断熱効果が高いドア。外気と遮断するため、ドアは厚く、錠も強固でがたつきがない設計になっています。ガラス破りさえ気をつけておけば、おおむね防犯力がある商品です。北欧輸入住宅で多用されるほか、寒冷地用の国産商品もあります。

6. 勝手口ドアのよくある質問

サムターンの強化は、カバーをつける程度で良いの?

ガラスが入ったドアの場合、割れた穴から手を入れられる可能性が高くなります。そうすると、カバーなどの単純な方法では、とても対処できなくなります。それは、スイッチ式、押し回し式といった操作をするものでも同様です。
あくまでも、キーで操作できるもの、つまみが外れるもの(簡易キー)でなければ、耐久しないと考えた方がよさそうです。

ガラスを強化すれば、サムターンの強化はしなくて良いのでは?

ガラスを強化しても、小さな穴を開けることぐらいは、短時間で遂行可能です。そうすると、サムターン回し、クレセントを動かす程度の工具であれば、挿入可能です。ですから、ガラスを強化したとしても、安心できるレベルの補助締り装置は設置した方がよいでしょう。

勝手口は設けないほうがいいの?

防犯的に言えば、開口部は少ないに越したことはありません。勝手口もないほうが安心でしょう。しかし、生活するとは、防犯だけの問題ではありません。たとえば、ごみ出しの時に、いちいち臭気の強いものを廊下を通って玄関から持ち出すのもたいへんです。結局は、ライフスタイルによって選択した方がいいと思います。

うちの勝手口は目立つ位置にあるので、対策はしなくても大丈夫ですよね?

玄関より狙われやすい理由のひとつが、目立たない位置にあるということなのですが、もうひとつ、構造的に玄関よりこじ開けに弱いというのもあります。
確かに、設置位置によっては、狙われにくくなる可能性は大きいのですが、防犯力が低い旧製品であれば、やはり強化はしておいた方が良いでしょう。