窓を狙う犯罪手口

2006.May.20.UpDATE




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 国内における空き巣侵入経路として最も多いのは「窓」です。これを防がない限り、多くの住宅の防犯対策は、無意味なものになります。



もっとも危険な「窓」
 窓は、侵入経路として特に狙われやすい部位です。これは、そこで使用されている「ガラス」という素材が、破壊行為に対して著しく弱いためと考えられます。また、一般の方の心理として、ドロボウも含めて、人間の出入りはドアから行われるという思い込みから、どうしても玄関などを優先的に強化する傾向があるため、現在に至っても対策が後手になっていることも理由です。平地に接した戸建て住宅や、集合住宅でも特に低層階は、まず窓の強化を計らなければウソなのです。

 窓を狙った犯罪手口は、大きく分けて2とおりあります。非破壊の場合と、破壊を伴う場合です。この2つは、方法も対策も異なるので、その両方を知っておかなくては、被害は免れません。 
クレセントとは、引き違い窓でよく見られる鎌式の窓錠です。




窓ガラスを割る手口
 破壊と言っても、その大半は「ガラスの一部を小さく割る」ものです。大きく割るよりも破壊音が伴いにくいことと、短時間で済むこと、使用する用具が小さくて済むことがおもな理由です。

 クレセントは、ドライバーなどの細い棒で押すだけで開きます。ガラス片で怪我をする心配もありません。
 クレセントさえ開放できれば、あとは窓を開放することなど容易です。つまり、リスクが少なく、非常に簡易であるわけです。

※ CP対応手口の標記のものについては、発生頻度が高く、「防犯性の高い建物部品(CP)の認定」でも耐久性を検証されています。
こじ破り(三角割り) CP対応手口
 最も頻発する手口です。クレセントなどの窓錠の周辺部だけを割り、生じた穴から工具や手を差し入れ、錠を開放することで窓を開放、侵入します。
ガラスを破る方法はいくつかありますが、割りたい部分の周囲にガムテープを貼り付けて軽く殴打したり、ガラスとサッシの隙間溝にドライバー等を差し込んでこじることが多いようです。
所要時間はわずか十数秒。いずれも割れ口が三角形になることが多いので、三角割りとも称されます。

 この手口が好まれる最大の理由は、使用する工具が小さく携帯に便利であることと、破壊音が小さいために周囲に知られるリスクが少ないと言う事のようです。
打ち破り CP対応手口
 単純に、ガラスを殴りつける手口。生じた穴から錠を開放することが多いのですが、ガラス全体を割り落とし人体を通過させようとする者もいます。大きな破壊音が伴うため頻発すると言う事はありませんが、確実におきている手口です。おもに、バールやハンマーといった大道具が使用されます。

 人体通過まで懸念する場合、いくら丈夫な補助錠の類を設置していたとしても、まったく効果はありません。これに対抗するためには「合わせガラス」や「セキュリティフイルム」を導入するしかありません。
焼き破り (焼き切り) CP対応手口
 近年TV等で騒がれ、大幅に被害件数が増えている手口。バーナーなどの火器でガラスを熱し、水をかけるなど急速冷却することによって、自然割れを誘うのです。狙う部位はこじ破りと同様にクレセント周囲で、実際は昔からある手口のひとつにしか過ぎません。

 この手口は、犯行所要時間においては、他の殴打系の手口よりははるかに時間を要する(2分程度)のですが、破壊に伴う音が極端に小さいという事、また殴打するよりもモーションが少ない分、罪悪感が薄くてすむために流行ったと言われています。に時間がかかるのです。


■防犯ガラスも突破する最悪手口!?■

 焼き破りは最新手口で恐ろしいという報道が多いようです。特に「合わせガラス」や「セキュリティフイルム」は、加熱されると燃えるものがあるため、それらでの対策が無力化するという報道が多いようです。しかし、相当の時間を費やさなければ人体が通るほどの大穴を開ける事は困難ですし、小さな開口であれば補助錠で防ぐことが可能です。とりあえずの対策は、従来のこじ破りと同じ程度でもかまわないわけで、取り立てて恐ろしいものではないのです。
突き破り
 鋭利な棒などで、クレセントなどの施錠装置をガラスごと壊す手口。簡易施錠機能付きのクレセントなどで、剛性が弱いものは突破される可能性がある。
投石
 現場でひろった石などで割る手口。オーソドックスで、素人が何の準備もせずに可能なので、比較的多く見られる手口です。
その他のガラス破りの手口!
    特攻(?) ショーウインドウなどに車で突入する手口で、貴金属店などのウインドーショップで行われることがあります。周囲に人がいても、あっけにとられているあいだに攻撃し、短時間で盗み出すことも。


    銃撃・爆破 国内では、まずおきない手口。侵入防止と言うより、室内の人命保護の役割が強いと思われます。アメリカ同時多発テロなどの対策で、実際にこういった対策が行われたようです。


    飛来物、体当たり 侵入手口と言うより、自然災害や事故での話です。台風や竜巻での飛来物、ボール等がガラスに衝突することを想定しています。小中学校では、生徒ががオーバーランしてぶつかることも考慮されています。どちらにしても、破片で怪我をしたり、留守中に穴が開きっぱなしになるのを防ぐ事は必要でしょう。






ガラスを割らない手口
 一方、ガラスを破壊せずに、侵入する手口もあります。おもに住人の油断から発生することが多いようですが、設備の不具合によって、知らず知らずのうちに危険に晒されていることもあります。
掛け忘れ、開けっ放し
 非破壊でもっとも多いのは、掛け忘れや開けっ放しの窓から侵入するものです。これはひとえに、居住者の者の慢心と油断がもたらすものです。たとえば、単純に忘れていたのであればともかく、「こんなところから入るわけがないだろう。」「ちょっとの時間だから大丈夫だろう。」果てには「まさかうちに泥棒なんて・・・」といった、勘違いと油断により被害にあうケースは、後を絶たないのです。

 「まさかここから・・・」という油断の代表が2階からの侵入のケースでしょう。実際には、住人が思うほど2階に登ることは難しくはありません。足場さえ作ればいいことですし、塀やカーポート、雨樋など、既存設備を利用することでも事足りることも少なくありません。実際、2階からの侵入手口のトップは、これとなっています。
 また、トイレなどの小窓の場合、「こんな小さな窓から・・・」と思っていても、そこから侵入されることもあります。なかには、「格子があるから・・・」という理由で常にサッシは開けっ放しという家庭もあるようですが、その面格子自体が簡単に撤去、破壊できる事が多く、それゆえに狙われることがあります。
クレセントはずし
 クレセントが十分にかかっていない場合、経年したもので可動部などに疲労(がたつき)が生じているものなどは、外からサッシを揺らしただけで、施錠が外れることがあります。
 しかし現実問題、がたつきが大きくなったからといって、これを交換する人はほとんどないと言って良いでしょう。しかし、こういった手口が存在する以上、経年した時点で交換すべきなのです。




「ガラスを割る」心理
 「ガラスを割る」行為自体は、たいへん簡便なものです。子供でも誰でも、今すぐにでも実行できます。そのようなもので建物を守ろうということ自体、まったくナンセンスだと言えなくもありません。
音がすれば、ドロボウは逃げる?
 よく、「ガラスを割ったら大きな音がするので、住宅街ではそんなに狙われることはないだろう」という意見があります。これは、間違いです。手口の項で述べたように、音が気にならない手口はいくつもあります。
やはり必要な、「ガラス強化」
 「こじ破り」が多いのは、近年でも多くの窓がクレセントの1ロックしかなく、それさえはずせば窓を開放できるからというのがあると思われます。「打ち破り」が少ないのは、確かに音等の問題もあるのでしょうが、こじ破りで開く以上、それ以上の手口を駆使する必要がないことも関係していると考えられます。やがて窓の2ロック化がすすんでくれば、大きくガラスを破る手口がもっとも効果的だと支持されるようになる可能性は高いと思われます。そうなると、ガラス面を強化しなければ、補助錠やブザーだけでは防御が難しくなると考えられます。















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