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近年、一部インターネット上で話題になっているのが「バンピング」という技法です。先ごろには週刊誌やワイドショーにまで波及したこの話題を、取り上げてみます。 |
「バンピング」とは ? |
「バンピング」とは、「バンプキー」と呼ばれる特殊なキーをシリンダーに差し込み、ある一定の衝撃を加えることで開錠する手法です。海外では、開錠を業とする業者の間で古くから使われていると言われ、国内でも数年前から存在は知られていましたが、ネット掲示板などで取り上げられたのを機に、広く知られるようになったものです。
バンピングで開錠されたドアやシリンダーには、その痕跡はほとんど残りません。つまり、もし犯罪に転用された場合、かけ忘れと勘違いされたり、ピッキングと間違われたりする可能性が指摘されています。
バンプキーは、シリンダー種固有のものです。それを司るのが「キーウエイ」と言われるもので、たとえばA社に2種のシリンダー(たとえばMIWAで言うU9とJNとか)間では、それぞれのキーがささらないため共用できませんし、違うメーカーともなればなおさらです。たとえば、ピンタンブラーのシリンダーは国内で数百種、住宅用だけに絞っても50種類以上あるのですが、それをすべて開けようと思えば、その数だけバンプキーを用意しなければなりません。海外で多い理由のひとつに、有力なメーカーのシェアが多く、持ち運ぶバンプキーの種類が絞りやすいことが考えられます。
その理屈で言えば、1棟同じシリンダーが設置されているマンションなどは、危険度が増すということです。
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バンピングで開けられる錠 |
バンピングで開錠ができるのは、内部に「ピンタンブラー」という機構を用いた「ピンタンブラー・シリンダー」と呼ばれるものです。
ピンタンブラー・シリンダーのキー(参考画像)
これ以外のシリンダーは、基本的にバンピングでは開けられません。たとえば、ピッキングに弱いと言われた「ディスクタンブラー・シリンダー」でさえ、この手法では開けられません。
問題なのは、ピッキング騒動後に世間に認知された「ピッキングに強いカギ」の主流である「ディンプルキータイプのシリンダー」は、ピンタンブラー機構であるということです。
ディンプルキー(参考画像)
単純な形状のピンシリンダー(単列ピンシリンダー)はともかく、そうでない、世間の多くが「安全、安心」だと思って、数万円をかけて導入したキーシリンダーも、同様に開けられてしまう危険性が高いのです。
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バンピング対策 |
ピンタンブラー機構でないシリンダーは、この手法では開けられません。その代表的なものをお知らせします。
<機構的に開けられないタイプ>
■ディスクタンブラーシリンダー
ピッキングに弱いとして、現在ではほとんど製造されていないシリンダー。
■ロータリーディスクタンブラー・シリンダー
美和ロック社が現在主流として販売しているシリンダー。
<おもな型式>美和ロック U9、UR、PR、OPNUS MMX
■マグネチックタンブラーシリンダー
磁石の反発を利用したシリンダー。
<おもな型式>美和ロック EC、EX
■ディスクロック
フィンランド、ABLOY社製のシリンダー。内部にバネを使用せず、独自のディスクタンブラーを使用している。
<形状的に難しいシリンダー>
バンプキーは現在のところ自作するしかありません。その創作が難しい形状のシリンダーは、当面安全性が維持できると考えられます
■HORI トライデント
■シブタニ クラビスQ−18、F−22
■OPNUS TEX
<メタルキー以外の錠>
非接触ICカードキーや、暗証番号、指紋認証など、アナログシリンダーを用いないものは、バンピングでは開けられません。
ALPHER EDロック(暗証番号)、電波リモコン錠、非接触IC
<マイナーメーカーのシリンダー>
上で言ったように、バンピングに用いるバンプキーは、シリンダー種固有のものですから、マイナーなメーカーや種類のものであれば、そもそもそれを用意するのは非効率、非現実的なので、被害はおきにくいと考えられます。
これらものに交換すれば、被害はおきにくいと考えられます。
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バンピング対策済みのピンタンブラー・シリンダー |
バンピング対策済みを謳ったピンタンブラーシリンダーも販売されているようですが、メーカーの多くがその内容を非公開ですし、配列によっては開くものもあると言う話もありますので、現在のところ検証はされておりません。この件については、しばらく言及を避けます。
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具体的な対策 |
■バンピングが難しいシリンダーに交換する
■2ロックにする
2ロックにして、上下を別のシリンダーにすれば、それぞれに対応する2本のバンプキーを用意する必要がありますので、開けるのは困難になります。一方を不可能な商品かマイナーメーカーの商品にすれば、なお効果的です。
■周囲と違うシリンダーにする
マンションなどでは、オートロックと切り離し、周囲の家と異なるシリンダーにすると、効果的です。
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バンピング犯罪は認知されているの? |
警察での認知はされていません。しかし、発生していない確証もないのが実際のところです。この技法が手口にならないよう、個人での対策を進めることを検討しましょう。
ただし、いつものことですが、扇動的な報道が目に付きます。実際に、国内で使用可能なバンプキーの一般流通は確認されていません。犯行をしようとすれば、今のところ工具を自作するしかありません。その段階においては、爆発的に増加するとも思えません。
また、ロック工業会が発してるように、国内でトップシェアである美和ロック製品の主流はバンピングでは開かないものです。
まず、家のカギのタイプを把握し、落ち着いて行動しましょう。対策も、高価な対策シリンダーではなくとも、十分にできます。
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